緊急避妊法についての情報が普及するにつれ、誤解を生むような情報も意図的・無意図的に流されるようになりました。そのいくつかについてのコメントを追加します。
【失敗率が高い?】→
「ピルとのつきあい方」では、妊娠回避率と妊娠率(失敗率)を区別して示してきました。しかし、この2つを混同して、失敗率が高いという情報が流れています。
妊娠回避率が75パーセントであるから、25パーセントは妊娠するというのは誤解です。緊急避妊法を取ったにもかかわらず妊娠するのは、文献上2パーセントです。緊急避妊法をとって、妊娠する確率が2パーセントを超えることはありません。これよりも低い数字になっているデータもたくさんあります。失敗率10パーセントとか20パーセントとしている記述を見かけることがありますが、正しく緊急避妊法が行われていないか、妊娠回避率の意味を誤解しているかでないと、そのような数字にはなりません。日本の事情に照らして考えると、「成功率」は99%以上になるかもしれません。
緊急避妊法は「薬の組成から考えてそんなに効くものとは考えがたい。」などの俗説が、権威あるサイト?から流されているのは、残念なことです。 【緊急避妊法は中絶と同じ?】→
緊急避妊法による避妊効果は、着床阻止だけではありません。排卵抑制効果や受精卵の移動速度低下も含めた効果です。重要なことは、着床(妊娠成立)後には、効果がないということです。もともと受精卵は必ず着床するものではなく、受精したが着床しないことは少なくありません。自然の状態で受精卵が着床しなくても、そのことに気づかれることはないといってもよいでしょう。もし、受精が妊娠というならば、多くの女性は知らず知らず妊娠を繰り返しているということになります。
たとえ受精しても着床前であれば、妊娠とはいえないわけで、緊急避妊法は中絶薬とは本質的に異なるものです。
【失敗したとき胎児へ影響?】→
緊急避妊薬は失敗した場合、胎児に必ず奇形を生じさせるなどという情報が流れています。この点について、プリベンの添付文書には、以下のように書かれています。妊娠に気づかないで混合経口避妊薬を服用し続けた女性についての研究は、混合経口避妊薬が胎児に対するいかなる有害リスクの増加とも無関係であることを示している。緊急避妊法で使用される同じまたは類似の薬剤が、確立した妊娠に悪影響を持つことはありえないだろう。
緊急避妊失敗後に生まれた子どもについて追跡したイギリスのデータは、先天奇形の増加を示していない。緊急避妊薬の催奇性の問題は、アメリカで緊急避妊薬が承認される際に慎重に検討されました。緊急避妊薬を服用するのは着床前の時期であり、母胎からの影響をほとんど受けません。万一、奇形が現れてもそのほとんどは流産してしまいます。慎重に検討された結果、欧米では上記のような結論が得られたのです。緊急避妊薬に催奇性が全くないとは言い切れませんが、欧米には催奇性があると考えている医師はほとんどいません。なお、妊娠がすでに成立していれば、その胎児への影響は否定できないので、妊娠していないことを確認してから処方するのが常識となっています。
【妊娠初期の流産を引き起こす?】 →
緊急避妊法で流産が起きる、大出血が起きる、などの脅し情報が流されています。緊急避妊法が流産や大出血を招くという信頼できるデータはありません。妊娠中絶薬は、人工的に流産を起こさせるもので、大出血が起きることがあります。しかし、着床前(たとえ着床直後の服用でも)に服用される緊急避妊薬の服用で、大出血をともなう流産が引き起こされるということは、常識的に考えてもあり得ないことです。 |